【MAU】生物学【課題1】

MAU通信 -生物学

生物学 第1課題

「哺乳類の任意の二つの目をあげ、それぞれの目の形態的特徴とそれから推測される生活様式を比較しながら論じなさい。」

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レポート本文

  哺乳類は動物界 脊索動物門 脊椎動物亜門に分類される生物群である。哺乳類は様々な環境に対応して、約5400種もの多様な変化を遂げた。これは他の動物群に比べ多いほうではないが、生息する場所は非常に多彩であり、地球上のあらゆるところに存在している。そのなかでも今回は肉食目と奇蹄目、ふたつの形態的特徴と生活様式について考察する。食肉目と奇蹄目の動物の共通点、違いはどのようなものか、下記のようにまとめた。

  まず哺乳類全般における共通の形態的特徴について確認する。一つ目は胎盤を持ち(単孔類をのぞく)、子供をミルクで育てるため、乳首やへそを持つという点である。二つ目は体毛が存在することで、三つ目は切歯、犬歯、前臼歯、後臼歯という異なる4種類の歯を持つ異歯性あることである。一部例外はあるものの、多くの哺乳類は以上三つの特徴を有する。ネコやイヌといった動物が分類される食肉目にも、ウマやバクといった動物が分類される奇蹄目にも以上の特徴は共通してみることができる。
 ではそれらの特徴を持った上で食肉目と奇蹄目はどのような特殊性を持つのか。変化が著しい部位三つに分け、第一に頭部、第二に手足、第三に子育てについて記述する。
 第一に頭部についてまとめる。頭部はこの二つの分類群を理解するのに大変分かりやすい箇所である。ここでのポイントは眼の位置と口内の構造に集約される。食肉目の動物と奇蹄目の動物では眼の付いている位置が大きく異なる。食肉目の眼は顔の正面についており、奇蹄目は顔の側面についている。これは食肉目の動物は他の動物を捕食するために、獲物との距離を把握し、立体的に獲物をみる必要があるためと考えられる。一方奇蹄目は捕食者から逃げるため、周囲の敵をより早くキャッチできるよう、視界が広く、目が横につけられている。同様に口内の構造、歯にも捕食者・非捕食者の特徴が強く出ており、食肉目のうちライオンやオオカミはとても犬歯が発達し、さらに上顎の第四前臼歯と下顎の第一後臼歯はナイフ状の裂肉歯と呼ばれる形状になっている。肉を裂いて飲み込むためのデザインであり、すりつぶす必要はないので裂肉歯以外の臼歯は小さく数も少ない。一方草食獣である奇蹄目は肉食目の動物とは逆に切歯と臼歯が発達し、臼歯は臼型に特殊化している。固い草や木の葉をすり潰して食べられるよう、ギザギザとした接合面に変化したと考えられる。
 第二に手足についてまとめる。奇蹄目はその名のとおり奇数の蹄をもった目であり、食肉目はするどい爪を特徴として持つ。食肉目であるネコ科やイヌ科にみられる、踵を上げ爪先で地面を蹴る走り方は指行性と呼ばれ、奇蹄目であるウマ科の爪(蹄)だけで走る走り方は蹄行性と呼ばれる。蹄とは草食動物にみることができる捕食者から逃れるための走行専用の器官である。早く走るためには五本指は不要であるため、蹄が発達した指だけを残して他の指が退化したのである。接地面が少ないほど歩幅が広がりスピードがでる。そのため爪だけで走っている動物は非常に早く走ることができるのである。ネコ科やイヌ科の動物も獲物を捕えるために早く走る必要があり、早く走ることのできる指行性の構造を持っているが、食肉目の最大の特徴は爪を鋭く武器として変化させている点である。
 第三に子育てについてまとめる。両者とも哺乳類であるから、子育ての形式は乳による育成という共通点があるが、その全容は異なる。食肉目は子供を一度に複数生む種が多いが、奇蹄目は1頭から2頭で、それも子供がかなり大きくなってから出産する。これは捕食者と非捕食者の生存戦略の違いである。食肉目のイヌやネコといった動物は敵に襲われる危険性が少ないため、ゆっくり子育てができる。そのため小さな子どもを数頭産む。同時に子供にミルクを与える必要があることから、乳首は腹面全体にあるのが特徴である。敵から逃げる必要がないので、母親は横になって授乳する。一方奇蹄目の動物はいつ天敵に襲われるか分からない状況である。生まれたばかりの子供は格好の的になってしまうため、彼らの子供は少なく、大きく育った状態で産み落とされ、一時間もしないうちに眼が開き立ちあがる。乳首は後脚の近くにあることが多い。これは捕食者が現れたらすぐに逃げられるように母親が立ったまま授乳するためである。こうすることで生き残る可能性を上げているのである。

特殊化し現在生き残っているということは、その時々の条件に最も優れた形で変化したということである。食肉目はより獲物を効率よく手に入れるため、奇蹄目は捕食者から身を守るため眼や歯、足、子育ての方法を変化させた。形態的特徴は生活様式に対応するのである。このふたつの動物群は同じ哺乳類であるが、かたや捕食者、かたや非捕食者であり、その特徴は生活に必要な各部位に色濃く出ている。

参考文献

  • 『新・ポケット版学研の図鑑 動物』千代延勝利 学研教育出版 2002
  • 『カラー版徹底図解 動物の世界』富永靖弘 新星出版社 2011
  • 『フィールドワーカーのための動物おもしろ基礎知識』熊谷さとし 偕成社 2006
  • 『動物の不思議』田村正隆 ナツメ社 2007
  • 『世界哺乳類図鑑』ジュリエット・クラットン=ブロック 新樹社 2005

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