【MAU】経済学【課題1】

-経済学 MAU通信

経済学 第1課題

「教科書や自分で調べたことを元に、芸術活動を経済的になりたたせるためには、どのようなマネジメント・政策がされるべきか。まとめなさい。」

レポートの参考にどうぞ。
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テーマ「芸術活動を経済的に成り立たせるためのマネジメント」

 本レポートでは芸術活動を政府や社会がどのようにマネジメントしていく必要があるか検討する。

 古来より芸術と経済とは密接な関係にあり、古代ギリシャ・ローマにおいて芸術は国家的祭祀として国の財政的支援を得て行われ、詩祭や行政官がマネージャー的役割を担っていた。ルネサンス期にはメディチ家がパトロンとして芸術家への作品依頼・資金援助の他、芸術家同士が交流するためのサロンの提供等を行った。また日本においても武家が絵師や能楽師などを援助・保護していた歴史がある。このように芸術は資金援助なしに成り立つことはできず、いつの時代でも何らかの形での援助を必要としてきた。現代の日本においては芸術文化は国の力によって保護されている。主に担当しているのは文化庁で、国際交流では外務省、地域創造に関しては総務省等も関わってくる。2013年度の文化庁の予算は1033億円であり、国家予算の0.11%に相当する。これは先進国であるフランス(0.86%)、韓国(0.97%)、中国(0.4%)と比べるとかなり低い比率である。(*1)国家予算自体が異なるためパーセンテージだけでその国の文化予算がいかに豊富であるかを判断すべきではないが、日本の行政における芸術文化の財政的優先度は低いとされており、何かあれば財政赤字とともに真っ先に削減されるのが常識である。
 しかし近年、芸術を経済的に成り立たせることが、経済に良い影響を与えると考えられるようになってきている。芸術は古くから一種の個人的で趣味的な「贅沢な消費活動」であって、生産を刺激して発展させるどころか、人々を勤勉や節約の世界から引き離して、経済の停滞をもたらす原因の一つであると考えられてきた側面がある。しかしその考え方は年々覆ってきており、むしろ芸術には経済を豊かにする力があると認められるようになった。「文化政策学には「文化に国家が介入することで経済的な利益がある (中略)すばらしい美術品を展示することで、イギリスの工芸職人の感性的レベルが上昇し、それによってイギリスの貿易輸出が伸びるはずである」」(*2)と書かれている。芸術活動を経済的に成り立たせることは芸術の発展に繋がる。また芸術活動自体が経済的な視点から見れば1つの産業活動である以上、芸術の質の向上が経済に良い影響を与えるのである。芸術活動は美に近づくための行いであると同時に、それ単体で経済的に波及効果を生む立派な産業であるといえる。
 それではその芸術という産業を盛り上げるためにはどのようなマネジメントが必要なのか。現在わが国の文化庁で行われている文化政策の内容は、2013年度の文化庁予算(*1)によると、予算額が1033億4200万円で、その内訳は「文化財保護の充実」(44.2%)、「国立文化施設関係」(32.3%)、「芸術文化の振興」(20.8%)、「その他」が2.7%となっている。一つ目の「文化財保護の充実」だが、日本には多くの歴史的・芸術的価値のある文化財が多く存在する。それは存在するだけで地域経済を活性化させる可能性を含んでいる。その価値を一時的のものではなく、後の時代の人々に伝えていくために長期的な「保護」が必要と考えられており、多くの予算がここに費やされている。二つ目の「国立文化施設関係」だが、18~19世紀に起きた「産業革命」を発端に、世界はたくさんの国立劇場などが続々と創設され、日本においても1872年に東京国立博物館、1959年に国立西洋美術館が開館した。芸術文化を盛り上げるためには、芸術に市民が触れることができる環境が必要である。美術館や博物館などの施設整備を行い、それに関連して教育やネットワークの整備などが必要となる。三つ目の「芸術文化の振興」だが、伝統的な文化を保護していくだけでは文化の繁栄には至らない。どれだけ新しい文化の創造が行われるかがその国の今後の文化の繁栄度を高めるといえる。そのことから芸術文化の振興が必要であり、積極的に前衛的、先端的な文化を振興していくマネジメントが求められる。またこれらの要素にプラスして、芸術の「マーケットの拡大」などの政策が必要であると筆者は考える。これは「芸術文化の振興」の一部としてみることもできるが、芸術文化は生産されたのち流通過程にのらなければ、最終的な消費にまで結びつかない。作品が正しく評価、販売されることで芸術文化は発展する。芸術活動を経済的になりたたせるためには、この部分の援助がかかせないと考察する。

 芸術を経済的に成り立たせるためには、すでに有るものを「保護」し、新しい芸術を「振興」し、「マーケット」を広げ、芸術文化価値が市民に行き渡るよう「施設の整備」など、多角的なマネジメントが必要となる。流動性の高いマーケットを生みだし、誰でも気軽に芸術文化に触れることのできる社会が芸術を発展させるである。財政上の都合を考慮しつつ、連鎖的に芸術と経済が発展できる関係構築を目指すマネジメントが必要である。

参考文献

  • (*1)「文化政策の展開アーツ・マネジメントと創造都市」野田邦弘 学芸出版社 2014
  • (*2)「文化政策学 法・経済・マネジメント」後藤和子 有斐閣 2001
  • 「文化経済学」池上惇 有斐閣 1998
  • 「文化政策を学ぶ人のために」上野征洋 世界思想社 2002

オススメの参考図書

↑↑上の参考文献全部読んだ方がいい!と言いたいところですが、最低限この2冊読めば何とかなる気がします。ちなみにレポート、この内容でBなので、A以上狙いたい方はもっと頑張ってください!!!!!!

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