【MAU】経済学【課題2】

-経済学 MAU通信

経済学 第2課題

「教科書の中で興味を持ったところや自分の経験や自分で調べたことをもとに、地域経済を活性化するような文化活動はいかにあるべきかを考え、レポートにまとめなさい。」

レポートの参考にどうぞ。
全体的・部分的問わず、剽盗・転載はご遠慮ください。

テーマ「 地域経済を活性化するような文化活動はいかにあるべきか 」

 地域経済を活性化するような文化活動は、地域の特質を鑑み、土地柄に根ざした活動であるべきだと考察する。その根拠を以下に解説する。

 昨今、地域における文化活動が住民の文化水準の向上のみならず、地方の経済を活性化させることができると注目されている。文化庁は「文化芸術の持つ創造性を地域振興、観光・産業振興等に領域横断的に活用し、地域課題の解決に取り組む地方自治体」を「文化芸術創造都市」(*1)と位置づけ、2007年度から取り組みを開始した。日本の2000を超す場所でアートが核となった地域おこしのプロジェクトが行われている。とくに文化政策により地域経済の活性化に成功したモデルケースとして「金沢市」と「豊島区」を挙げることができる。金沢市は1968年に金沢伝統環境保全条例を制定し都市景観の保護を行い、1988年に「オーケストラアンサンブル金沢」を設立、1996年に「金沢市民芸術村」というアート工房、ミュージック工房、レストランなどに転用される会場を作った。2004年に中心街に開館した金沢21世紀美術館は、開館一年間の経済効果が328億円にものぼるとされ、同時に地元商店街の売り上げも伸びるなど大いに成果をあげた。他方、豊島区では2006年に文化芸術振興条例を制定し、文化芸術創造の拠点「にしすがも創造舎」の運営や、舞台芸術交流センター、新中央図書館において舞台芸術の発信やワークショップなど地域住民との交流事業、また屋外空間においては音楽やアートパフォーマンスなどを楽しめるイベント開催に積極的に取り組んだ。それにより「こわい、暗い、汚い」3Kの町として悪名が高かった豊島区は文化芸術の力により地域の活性化に成功させたとして、2007年に金沢市と共に「文化芸術創造都市」として表彰されている。この例からも美術館設立を始めとする文化政策が地域経済を活性化させることは確かであるといえる。芸術に溢れた町は人々にとって魅力的でありその地域に足を運ばせるきっかけとなりえる。
 ここで文化活動が失敗した例についても考える。2004年に開館した金沢21世紀美術館は経済的な面からも大成功と言えるが、一方でバブル期に多く作られた日本各地の美術館がバブル崩壊とともに不要不急事業の烙印を押され、廃館に追い込まれているのも事実である。日本美術史家の並木誠士は、箱根や伊豆などに見られる「その土地に根ざさない美術館」を「観光地先行型美術館」と表現し「それらのほとんどは観光地化の結果として作られたもので、直接町の活性化にかかわっているわけではない…このような観光地化に乗じたような安易な美術館・博物館作りは問題にすべきであろう」(*2)と強く批判している。1980年代後半から1990年代に多く行われたいわゆる「箱もの行政」が地域発展に十分な効果を発揮できなかったことを考えると、今日に同じように美術館を作っても同じ末路を辿ってしまうことが予想される。地域レベルの文化投資は地域の収入のほぼ全体を注ぎ込む可能性があり、一度始めれば容易に後戻りすることは難しい。文化活動による地域再生は慎重に行われるべきである。
 では具体的に地域を継続的に盛り上げていくためにはどのような活動が必要なのか。ポイントとなるのは「地域全体をプロデュースすること」と「地域の人が関わり合うこと」だと考える。基本的に文化活動は地域の人口密度が高く、アクセスが良いほど大きな効果を発揮する。また旅行者の来集を期待するという点でも、地域周辺に観光のポイントが複数あることは集積効果を呼び、大きな経済効果を生む。このことから地域全体で一つの文化イメージを共有し、活動のレイアウトを考える必要がある。また文化の潜在力を旅行シーズンの間にだけ現れる旅行者に活用するのではなく、年間を通して地域住民が利用可能とすることも重要である。青森公立美術館の設計者である青木淳は「美術館とは「町の人に受け入れられる」空間でなければならず、町の風景の一部としての美術館が重要である」」(*2)という。また金沢21世紀美術館の設計者である西澤立衛は「公共の美術館というものは、行政がやることではなく、官民問わずいろんな人間が参加して、能動的につくっていくものだと思います。美術館は、行政の所有物ではなく、町の財産である」(*2)と主張している。金沢市や豊島区のように、外部の人間だけでなく地域住民を対象にした文化活動を行うことは地域の文化水準を高め、住民同士の結びつきを生じさせる。それが結果的に経済を活性化させると考えられる。

 疲弊した地域が美術館建設やアートイベント開催で活性化する可能性は十分にある。しかし継続的な活性化となるとその保証はない。留意しておくべきことは、単にミュージアムのもつ地域活性化の潜在力に期待し美術館をつくるのではなく、問題があるとされる地域の特徴を考慮しプロデュースを行うことである。「地域経済を活性化するような文化活動」は、地域住民と関わり合い、その地域に根ざした活動であるべきである。

参考文献

  • (*1)「文化政策の展開 アーツ・マネジメントと創造都市」野田邦弘 学芸出版社 2014
  • (*2)「地域文化経済論 ミュージアム化される地域」寺岡寛 同文舘出版 平成26年
  • 「ひらく美術 地域と人間のつながりを取り戻す」北川フラム ちくま新書 2015
  • 「文化政策学入門」根木昭 水曜社 2010
  • 「文化によるまちづくりで財政赤字が消えた 都市再生豊島区篇」溝口禎三 めるくまーる 2011

オススメの参考図書

↑↑今回は主にこちらの2冊本も熟読してレポート書きました。個人的に「その土地に根ざさない美術館 」が大好きなので、面白い課題でした(*´з`)笑

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